特集 どうする? PCAS
❸ 初療における心停止診療—限られた時間でいかにICU診療につなげるか
大橋 孝太朗
1
,
松岡 由典
1
Kotaro OHASHI
1
,
Yoshinori MATSUOKA
1
1神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター・救急部
キーワード:
心停止の原因・鑑別
,
初期治療
,
蘇生後管理
,
機械的胸骨圧迫装置
Keyword:
心停止の原因・鑑別
,
初期治療
,
蘇生後管理
,
機械的胸骨圧迫装置
pp.513-523
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102201209
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はじめに
来院時における心肺蘇生〜蘇生後初期の管理では,心停止の原因・鑑別,検査,蘇生を同時並行で行うことが求められる。単一の診療科で心肺蘇生や蘇生後管理が完結することはまれであるため,適切なタイミングで他科へのコンサルトを行い,円滑にチーム診療を進める必要がある。緊急性が高く混沌とした心肺蘇生の現場では,経験豊富な救急医や集中治療医であっても,多科・多職種が連携した蘇生チームを統率することは容易ではない。
本稿では,来院時の心肺蘇生〜蘇生後ケアの流れを俯瞰的に理解することを目的に,以下3つのテーマに分け,実践的なevidenceやexperienceを中心に記述する。
第一に,来院時の心肺蘇生に焦点を当て,心停止の原因・検査・治療について詳述する。
次いで,「循環器内科との協働」の観点から,自己心拍再開return of spontaneous circulation(ROSC)後における体外循環の適応,その後の冠動脈造影coronary angiography(CAG)や経皮的冠動脈インターベンションpercutaneous coronary intervention(PCI)の適応について述べる。各施設における循環器内科へのコンサルトのタイミングや要件などを考える際に,本稿がその一助となるよう工夫している。なお,体外循環式心肺蘇生法extracorporeal cardiopulmonary resuscitation(ECPR)に関しては,誌面の都合上割愛する。
最後に,病院到着前・病院到着後における機械的胸骨圧迫装置のエビデンスと本邦における実状を紹介する。
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