特集 どうする? PCAS
❹ 二次性脳損傷を回避するICU管理に必要なこと—ガイドラインやエビデンスをふまえた管理方法
諸橋 優祐
1
,
藤本 佳久
2
Yusuke MOROHASHI
1
,
Yoshihisa FUJIMOTO
2
1TMGあさか医療センター 神経集中治療部
2聖マリアンナ医科大学 救急医学
キーワード:
血圧管理
,
Hb濃度目標
,
酸素濃度目標
,
PaCO2目標
,
鎮痛・鎮静・筋弛緩
,
栄養管理
,
血糖管理
,
血清ナトリウム濃度
,
発熱予防
Keyword:
血圧管理
,
Hb濃度目標
,
酸素濃度目標
,
PaCO2目標
,
鎮痛・鎮静・筋弛緩
,
栄養管理
,
血糖管理
,
血清ナトリウム濃度
,
発熱予防
pp.525-535
発行日 2024年10月1日
Published Date 2024/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102201210
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はじめに
心停止蘇生後(以下,蘇生後)の死因は循環不全と低酸素脳症に大きく依存し,蘇生後3日以内は循環不全が大半を占め,以降は低酸素脳症に伴う全身状態の悪化と治療撤退により死亡している1〜3)。急性期の循環不全に対しては体外式膜型人工肺(ECMO)や循環補助用心内留置型ポンプカテーテル(IMPELLA)の台頭もあり,死亡率低下に寄与している4〜6)。一方で,低酸素脳症に対しては具体的な治療戦略は確立されていない。蘇生後においても進行する二次性脳損傷を防ぐために,低酸素脳症で生じる脳神経の病態生理を把握しながら脳循環代謝を適正化することが求められている。近年,神経集中治療領域においてcerebral multimodality monitoring(MMM)が提唱され,2014年にNeurocritical Care Society(NCS)からMMMの指針が示された7)ことで,脳神経生理と脳循環代謝に関する知見が増えるに至った8,9)。
本稿では,低酸素脳症で生じる病態生理と脳循環代謝を軸に,ICUで求められる管理をガイドラインに記載のない領域も含めて解説する。
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