特集 ショックのPatient Journey
⓬ —開心術後:de-resuscitation—開心術後管理,下から見るか?横から見るか?②—心臓外科医が語る体液管理・人工呼吸器離脱
吉野 邦彦
1
Kunihiko YOSHINO
1
1東京ベイ・浦安市川医療センター 心臓血管外科
キーワード:
前負荷・後負荷
,
利尿時期
,
方法
,
早期抜管
Keyword:
前負荷・後負荷
,
利尿時期
,
方法
,
早期抜管
pp.293-298
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102201178
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はじめに
本症例は68歳と比較的若年であるが,糖尿病,慢性腎不全,低左心機能を有する高度僧帽弁閉鎖不全症mitral regurgitation(MR),中等度三尖弁閉鎖不全症tricuspid regurgitation(TR)に対して僧帽弁置換術mitral valve replacement(MVR),三尖弁輪形成術tricuspid annuloplasty(TAP),左心耳閉鎖術left atrial appendage closure(LAAC)を施行した症例である。
本症例では,まず有効循環血液量の低下に伴うショック,その後,心タンポナーデによる閉塞性ショックとなり,再開胸止血,再開胸周術期に心原性ショックとなりドブタミン(DOB)の投与を開始した。DOB開始後は心係数(CI)2.3 L/min/m2と安定している。ここまでのin/outバランスの合計は+8500 mLである。
術後6時間以上が経過し,一般的な術後経過では血管麻痺症候群vasoplegic syndromeや人工心肺使用後の一過性心機能低下が改善してくる時期である。しかし,本症例のようにICU入室後にショック状態に陥ったり,再開胸を要する症例では回復により長い時間を要することも珍しくない。
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