特集 ショックのPatient Journey
【コラム】乳酸は敵か味方か?
浅田 敏文
1
,
土井 研人
1
Toshifumi ASADA
1
,
Kent DOI
1
1東京大学医学部附属病院 救急・集中治療科
キーワード:
解糖系
,
酸素供給量
,
DO2
,
酸素消費量
,
VO2
,
lactate-guided resuscitation
,
乳酸値上昇の機序
Keyword:
解糖系
,
酸素供給量
,
DO2
,
酸素消費量
,
VO2
,
lactate-guided resuscitation
,
乳酸値上昇の機序
pp.246-251
発行日 2024年4月1日
Published Date 2024/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102201174
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はじめに
血中乳酸値は伝統的に組織低灌流の指標として広く用いられており,今も多くの臨床医が,乳酸値の推移を参考に重症患者の循環管理を行っているものと思われる。高乳酸血症を呈していた患者の乳酸値が治療とともに改善・正常化し,安堵する医師も少なくないはずである。一方,組織低灌流とは関係なく乳酸が蓄積する機序が存在することや,乳酸値を指標としてショック患者の初期蘇生を行う,いわゆるlactate-guided resuscitationによって重症患者の予後が改善するというエビデンスは十分でないことも現実である。この臨床的な感覚とエビデンスの乖離を埋めるべく,本稿では,乳酸値が上昇する主な機序を概説し,循環管理において乳酸値をどのように利用していくのがよいかを述べる。
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