Japanese
English
特集 脳性麻痺―最近の話題
自発運動の初期発達
Early development of spontaneous movements.
多賀 厳太郎
1,2
Gentaro Taga
1,2
1東京大学大学院教育学研究科
2科学技術振興事業団さきがけ21
1Graduate School of Education, University of Tokyo & PRESTO, JST
キーワード:
自発運動
,
脳
,
計測
,
力学系
Keyword:
自発運動
,
脳
,
計測
,
力学系
pp.797-801
発行日 2001年9月10日
Published Date 2001/9/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1552109571
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新生児の運動は反射か?
筆者は生後6か月ぐらいまでの乳児の運動,知覚,脳の初期発達に焦点を絞った研究を行っている.その目的は,乳児を生体システムとして捉えたときに,初期発達過程という現象の背後にある基本的な原理を明らかにすることである.そのために,運動計測,心理実験,脳の非侵襲計測などの最新の計測技術を導入している.さらに,非線形力学や複雑系といった新しいシステム論の構築という立場から,乳児の行動と脳の発達を理解しようとしている.したがって,筆者は脳性麻痺の早期発見やその療育に直接携わっているわけではないということをまずお断りしておきたい.それでも,ここで主張したいことは,新生児が従来考えられていたよりも,はるかに豊かな運動や知覚の能力を持っていることである.さらに,生後数か月の間に運動や知覚の機構に革命的とでもいうべき変化が起こるということである.こうした乳児の発達に関する基礎研究が,小児の療育分野に将来的には何らかの影響を及ぼす可能性について指摘したいと思う.
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