特集 災害とICU
Part 3.ICUと災害・テロ・事件の歴史
【コラム】川崎市登戸通り魔事件とICU—小児の生理学的特性とトリアージシステム
下澤 信彦
1
,
森川 大樹
1
,
藤谷 茂樹
1
Nobuhiko SHIMOZAWA
1
,
Daiki MORIKAWA
1
,
Shigeki FUJITANI
1
1聖マリアンナ医科大学 救急医学
pp.426-429
発行日 2020年4月1日
Published Date 2020/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200761
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はじめに
2019年5月28日,聖マリアンナ医科大学病院(当院)救命救急センターは,ある事件に直近の救命センターとして遭遇することになった。川崎市登戸通り魔事件である。本件では19人の刃物による被害者が発生し,そのうち16人が児童であった。当院には,小児を含む5人が搬送された。
当院の救命救急センターは,通常時は主に成人を対象とし,また患者は内科系が多く,このように一度に多くの小児を含む外傷患者を受け入れた経験はなかった。国内の多くの救急・集中治療施設が,我々のように内科系の成人患者を主な対象としていることから,この経験の共有は,今後の小児の多数傷病者事故mass casualty incident(MCI)対応に生かされる必要がある。
本稿では,我々が実施した現場から院内までの診療活動と,文献から得た小児の生理学的特性・トリアージシステムの現状について報告する。
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