社会の窓
"通り魔"事件と精神衛生
阿部 幸男
1
1読売新聞婦人部
pp.121-122
発行日 1959年5月10日
Published Date 1959/5/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1662201880
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東京都荒川区内に起つた女切り"通り魔"事件は最近で起つた犯罪のうらで一番世間の耳目を衝動させたものであろう.犯人はまだ検挙されず,迷宮入りの恐れも少くはないが,犯行者が少年と推定されていることから,昨年秋の小松川の"女高生殺し"事件を連想した人々も大勢いるに違いない.
"通り魔"事件は,31人の女性が1週間のうらに次々と,刺されたり,傷つけられたり,最後に不運にも心臓部をまともにつらぬかれて死亡した女性が出て,始めて明るみに出たものである.その詳細は日日の新聞紙上,或いは週刊誌などに詳細に紹介されているからここでは繰り返さないが,"女高生殺し"と同じく,犯人が変質者であると見られているところに一つの問題がある.同時に,そういう変質者がわが者顔に横行しているいまの世の在り方にも大きな問題がある.
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