特集 ICUエコー
Part 2 Intensivistに求められる超音波診断
腹部消化器系・尿路系
【コラム】腎移植後のエコーでの血流評価
堀見 孔星
1
Kosei HORIMI
1
1愛知医科大学医学部 外科学講座(腎移植外科)
pp.170-173
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200365
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腎移植は末期腎不全に対する有効な治療手段の1つであり,近年は免疫抑制療法の進歩や組織適合性検査の向上により,その成績は飛躍的に向上している1)。しかしながら,腎移植後は免疫抑制療法下における易感染性・拒絶反応の可能性・片腎リスク・血管系トラブル・尿路系トラブルといったさまざまなリスクもある。そのため,移植腎機能障害とその原因を早期診断し,早期治療を行うことは長期生着においても,非常に重要である2)。
移植腎機能障害の診察・診断は,発熱・移植腎の腫脹・圧痛の有無などの身体所見,尿量および尿検査・血液検査,単純X線・CT・レノグラムなどの放射線検査などから総合的に判断される。本稿では,これらのなかでも,特に簡便で侵襲の少ない超音波検査を使用した診断について解説する。
Summary
●腎移植後は,免疫抑制療法下における易感染性・拒絶反応の可能性・片腎リスク・血管系トラブル・尿路系トラブルといったさまざまなリスクがある。そのため,移植腎機能障害とその原因を早期診断し早期治療を行うことは,長期生着においても非常に重要である。
●腎移植後の腎機能モニタリングとしては,全身状態の評価に加え,血液検査・尿検査で行うが,エコーによって移植腎とその周囲の状態を知ること,腎内血流動態を知ることは早期腎障害の把握に重要な検査である。
●腎機能の評価には末梢血管抵抗を示す指標である抵抗指数(RI)を用いることが多く,RIは腎内血管の収縮期最高血流速度と拡張末期血流速度から求めることができる簡便な指標である。
●移植腎に生じる腎障害にはさまざまな原因や経過があり,さらに移植腎に特有の障害もあるため注意が必要である。
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