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泌尿器の超音波検査は,集中治療領域では注目されることが少ない分野である。超音波検査で評価する泌尿器の部位として,膀胱,尿管,腎臓が挙げられる。対象疾患・病態としては,急性腎傷害(AKI*1),尿路閉塞による水腎症,尿管結石,腎盂腎炎,腎萎縮などが挙げられる。
SCCM*2の2015年のガイドライン1)では腎臓の超音波検査についての言及がある。そのなかで,機械的閉塞による急性腎不全の原因検索に超音波検査を用いることは「Grade 2C」と低い推奨グレードになっている。その理由として,超音波がベッドサイドで施行できる簡便な検査である一方で,ICUにおいて,AKIのうち尿路の機械的閉塞によるものはわずか1〜3%程度2〜4)しかなく,ルーチンに超音波検査を行うことの有用性が明らかではないことが挙げられる。同ガイドライン1)では,機械的閉塞の評価目的に集中治療医自ら超音波検査を施行することに関しては「no recommendation」とされている。
一方,救急医学領域においては,医師が施行する泌尿器の超音波検査のエビデンスは豊富である。こうした事情をふまえつつ,本稿では,集中治療医学ないし救急医学領域で有用と考えられる泌尿器の超音波診断について,水腎症,腎盂腎炎,尿路結石,AKIを中心に解説する。
Summary
●泌尿器の超音波検査では,水腎の描出による閉塞性尿路障害の検出が重要である。
●POCUSは簡便ではあるが,水腎症の検出率においてCTに劣る。
●ICUにおいて,AKIの鑑別に超音波検査が果たす役割は,閉塞性障害の頻度が低いため限定的である。
●閉塞性尿路障害の原因となり得る尿路結石は,グレースケールならびにカラードプラ法により直接描出することが可能である。
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