特集 ICUエコー
Part 2 Intensivistに求められる超音波診断
気道呼吸器系
【コラム】急性呼吸不全の鑑別診断—COPD増悪 vs. 心不全
川上 大裕
1
,
瀬尾 龍太郎
2
Daisuke KAWAKAMI
1
,
Ryutaro SEO
2
1神戸市立医療センター中央市民病院 麻酔科
2神戸市立医療センター中央市民病院 救命救急センター
pp.68-74
発行日 2017年1月1日
Published Date 2017/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200351
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慢性閉塞性肺疾患(COPD)と心不全は,日常診療で頻繁に遭遇する疾患であり,両者の合併も多い。救急外来での呼吸困難症例やICUでの急激な酸素化悪化において,迅速な治療の開始が求められるが,COPD増悪と急性うっ血性心不全の両者では症状が類似していることから,時に鑑別に時間を要してしまうことがある。このようなケースでPoint-of-Care Ultrasonography(POCUS)は,非常に有用な診断ツールである。本稿では従来の鑑別法と比較しながら,その鑑別法について,特にCOPDとの鑑別が困難である心原性肺水腫を中心に概説をしていきたい。なお,A-lineやB-lineといった肺エコーの所見,画像については他稿の「肺エコー」(59ページ)を参照いただきたい。
Summary
●Point-of-Care Ultrasonographyは,低コスト,被曝の軽減,診断・治療までの時間の短縮,繰り返し評価可能な点などのさまざまなメリットを有する。
●急性心原性肺水腫の特徴的肺エコー所見としてB-line,慢性閉塞性肺疾患増悪の所見としてA-line + no PLAPSがある。
●肺エコーを使用した鑑別の進め方の1つとして,BLUE protocolがある。
●B-lineは間質症候群の所見であり,急性呼吸窮迫症候群や間質性肺炎も含まれる。
●経胸壁心エコーや下肢血管エコーと組み合わせることによって,より確実な診断が行える可能性がある。
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