特集 ICUにおける神経内科
Part 1 神経症候に対する診断と治療アプローチ
4. てんかん発作の初期マネジメント—焦らず十分に観察し,鑑別診断を行う
白石 淳
1
Atsushi SHIRAISHI
1
1鉄蕉会亀田総合病院 救命救急科
pp.779-785
発行日 2016年10月1日
Published Date 2016/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200320
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脳は陰性と陽性の症候のいずれも生じ得る。脳は,心臓と同じく,秩序立った電気活動が臓器の機能の本質であるから,その異常な低下は脳機能の喪失(陰性症候)を,異常な亢進は脳機能の無秩序な暴走(陽性症候)をきたす。後者がてんかん発作(または単に発作seizureとされる)である。
本稿では.てんかん発作の初期マネジメントにおいて,その多くを担う身体診察と病歴聴取を中心に,治療のタイミング,画像診断の適応などについて解説する。
Summary
●てんかん発作の定義が変更され,単回のてんかん発作であってもてんかんと診断されるようになった。
●てんかん発作の初期診療において,重積状態以外では発作の停止を焦ることはなく,十分に観察し,発作の自然停止後に観察した情報に基づいて鑑別診断を行う。
●単回のてんかん発作のほとんどは2分以内で自然停止するため,薬物で停止させるメリットはない。
●鑑別診断の主たるプロセスは,初回の発作であるか否か,てんかん発作であるか非てんかん発作か,誘発性発作であるか非誘発性発作であるか,この3点に整理して考えるとよい。
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