特集 心臓血管外科 後編
心臓血管外科における周術期管理
9.心臓血管外科術後リハビリテーション—患者の特徴や疾患特異性,術式別特徴を把握したプログラムで介入
櫻田 弘治
1
,
高橋 哲也
2
Koji SAKURADA
1
,
Tetsuya TAKAHASHI
2
1心臓血管研究所付属病院 リハビリテーション室
2東京工科大学医療保健学部 理学療法学科
pp.105-116
発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200244
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
平成26年度診療報酬改定の基本方針*1の重点課題「医療機関の機能分化・強化と連携,在宅医療の充実等」で,「急性期の患者の早期退院・転院や,ADL(日常生活動作)低下等の予防のため,早期からのリハビリテーションの実施や退院・転院支援の充実等も重要である」と,早期からのリハビリテーションの必要性が示されている。本稿では,我が国の現状をふまえ,心臓血管外科術後リハビリテーション(以下,術後リハビリテーション)の有用性,急性期と回復期の実際を示す。また,基礎疾患や術式により異なるポイントも合わせて記載する。
Summary
●心臓血管外科術後リハビリテーションの現状を考えると,早期からのリハビリテーションが必要で,歩行獲得遅延や歩行困難症例に力を注ぐべきである。
●心臓血管外科術後リハビリテーションの有用性は,術後早期歩行獲得,譫妄予防,運動耐容能改善,冠危険因子の是正,自律神経活性の改善,グラフト開存率の改善,QOLの改善,再入院率の減少および予後の改善と多岐にわたる。
●心臓血管外科術後リハビリテーションの急性期のアウトカムは術後の酸素化の改善,早期の歩行獲得であり,回復期・維持期の長期的なアウトカムは二次予防を含む疾病管理ができることである。
●運動療法には,主に有酸素運動,レジスタンストレーニング,インターバルトレーニングがあり,安全性と効果は証明されている。
●病態の改善を妨げたり,苦痛や精神的不安感を与えることなく,術後の回復過程を妨げずに,歩行獲得,ADL獲得による早期退院,さらに,生命予後を改善させることを目標とした包括的なチーム医療が重要である。
Copyright © 2016, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.