研究と報告
心臓外科患者—その術前不安の特異性について
野島 良子
1
1京都大学病院看護部外科系臨床実習
pp.667-671
発行日 1972年5月1日
Published Date 1972/5/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1661916331
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はじめに
ドイツの外科医Louis Rehn(1849-1929)が,1895年心臓縫合に成功して,外科学に新分野が存在しうることを示唆して以来,今日までの心臓外科学がなしとげた成果には瞠目すべきものがある.近い将来における人工心臓の植込み術成功,実用化への期待すら,故なきものではない.
ところで,このような心臓手術,とりわけ開心術を受けようとする患者のいわゆる‘心(こころ)’の状態は,どのようなものであろうか.術前患者の不安は何に向けられたものか.それには,他疾患患者のそれとの問の相違はあるのか.閉ざされがちな患者の心理の一端を,質問紙法による小調査によって窺いみた結果を,心臓外科看護の立場から述べてみよう.
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