特集 心臓血管外科 前編
術式別に学ぶ心臓血管手術:胸部大動脈疾患
1.大動脈弁基部置換術,自己弁温存基部置換術
國原 孝
1
Takashi KUNIHARA
1
1心臓血管研究所付属病院 心臓血管外科
pp.793-803
発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200221
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大動脈基部が一定以上に拡張した場合,あるいは外科的修復を要する大動脈弁疾患の手術時に大動脈基部がある程度拡張している場合,大動脈基部を置換する必要が生じる。伝統的には人工弁付きの人工血管(composite graft)で全基部を置換する方法がスタンダードであった。しかし近年,弁を温存して基部のみ置換する方法が急速に発達しつつある。また,弁を温存するにしても,大きく分けて2つの方法が現在主流となっている。これらの術式にはそれぞれ長所,短所があり,一概にどれが優れているとは言い難い(表1)。本稿では,これらの適応,術式,術後の注意点について解説する。
Summary
●大動脈弁基部置換術は,従来composite graftによる全基部置換(Bentall法)がスタンダードであった。
●抗凝固療法が不要な自己弁温存基部置換術は,若年者の大動脈弁逆流に対してメリットがある。
●自己弁温存基部置換術には,aortic root remodeling法とaortic valve reimplantation法があり,それぞれ一長一短がある。
●出血,心筋虚血,大動脈弁逆流,完全房室ブロック,心室中隔穿孔,洞不全症候群がおもな術後合併症である。
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