特集 心臓血管外科 前編
術式別に学ぶ心臓血管手術:虚血性心疾患
2.急性心筋梗塞後の機械的合併症に対する外科手術
福井 寿啓
1
Toshihiro FUKUI
1
1熊本大学医学部附属病院 心臓血管外科
pp.787-792
発行日 2015年10月1日
Published Date 2015/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200220
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急性心筋梗塞acute myocardial infarction(AMI)後に発症する機械的合併症には,心室中隔穿孔,左室自由壁破裂,急性僧帽弁閉鎖不全症などがある。これらすべてが心筋の急性壊死に基づく病態であり,壊死する心筋部位によって異なる病態を示す。すべてにおいて,早急な外科治療が選択されるが,手術に至るまでのあいだは病態に応じた急性期術前管理が重要である。しかし,AMI後の急性発症のため必ずしも術前管理は容易でなく,心不全状態のまま手術となることが多い。よって,術後管理も難渋することもままある。また,心筋壊死が広範囲に及ぶ場合は縫合部の出血がコントロールできないこともあり,手術死亡率も高いとされる。近年,各病態に応じたさまざまな術式が考案され,手術成績も徐々に改善されつつあるが,いまだに救えない症例も存在する。本稿では,AMI後の機械的合併症の手術適応と術式および術後成績について解説する。
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