特集 ICUで遭遇する血液疾患
Part 1 ICUでのコモンプロブレムの鑑別診断と対処
1.重症患者に併発する血液疾患
【コラム】DIC以外の消費性凝固障害—大動脈瘤,大動脈解離,人工弁,人工血管,妊娠・周産期
上田 朝美
1
,
香取 信之
1
Tomomi UEDA
1
,
Nobuyuki KATORI
1
1慶應義塾大学医学部 麻酔学教室
pp.240-244
発行日 2015年4月1日
Published Date 2015/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200155
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
大動脈瘤,大動脈解離,周産期などにみられる凝固障害は,消費性凝固障害を生じ,凝固系と比べて線溶系の優位な亢進が特徴的である。本コラムでは白血病(主に急性前骨髄性白血病)や悪性腫瘍以外の,ICUでよく遭遇する消費性凝固障害を生じる疾患の病態および治療法について紹介する。また産科DIC(播種性血管内凝固症候群,disseminated intravascular coagulopathy)は,DIC以外の消費性凝固障害には該当しないものの,他稿では触れられていないDICとして本コラムで紹介する。
Summary
●大動脈瘤患者の約5.7%に合併するといわれる消費性凝固障害は,線溶亢進型DICのパターンを呈し,FDPの上昇が鋭敏な指標となる。
●消費性凝固障害を呈している可能性がある大動脈瘤患者では,詳細な凝固系の検査が必要。根本的治療は外科的治療だが,凝固障害を認める場合には抗凝固療法も考慮する。
●人工弁留置患者にとって血栓塞栓症は深刻な合併症であり,血栓形成予防のための長期抗凝固療法が必要。
●妊娠・周産期における消費性凝固障害は産科DICと呼ばれ,極めて急激な経過をたどることが多い。出血性ショックを伴うことも多く,早期診断・治療が重要である。
Copyright © 2015, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.