特集 ARDS Berlinその後
8.ECMO—小児,新生児を中心に
清水 直樹
1
Naoki SHIMIZU
1
1東京都立小児総合医療センター 救命・集中治療部
pp.93-100
発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102200135
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重症呼吸不全に対するextracorporeal membrane oxygenation(ECMO)治療が,新生児・小児を超えて成人を含め急速に普及している1〜3)。しかし,昨今の急速な普及に隠された危険性,つまり,ECMO治療が「できる」だけではなく,いかに医療品質を高め得るか,基本的な人工呼吸器管理のあり方に回帰する重要性,ECMO治療の無秩序な普及ではなく,専門施設指定と症例集約の方向に誘導していく必要性などの諸点において,より精緻な議論を要している。
本稿では,ARDS(acute respiratory distress syndrome)に対するECMO研究の簡潔なレビューを行い,小児・新生児に対するECMO適応疾患と適応条件を述べる。その際には,治療抵抗性の低酸素血症に対するレスキューならびに肺保護戦略の一環としての役割を概説し,ECMO施行中の理想的な呼吸器設定について考察する。さらに,気道抵抗が高い症例,気管形成周術期管理,百日咳に対するECMOなどについて述べるとともに,二酸化炭素除去,肺高血圧,肺血流についての考え方についても併記する。
Summary
●重症呼吸不全に対するECMO治療は,新生児・小児だけでなく成人についても急速に普及しているが,いかにその品質を高めるか,症例集約,人工呼吸器管理のあり方などについて考えなければならない。
●小児重症呼吸不全のECMO経験が蓄積され,これまで適応ではなかった症例群への適応拡大がみられる。
●ECMOを呼吸管理・全身管理の全体像のなかでいかに適切に位置づけるかという基本的姿勢が大切である。
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