特集 Severe Sepsis & Septic Shock
EGDTの再考
6.治療の指標(モニタリング)―真のゴールは?
片岡 惇
1
,
瀧 香保子
2
,
藤谷 茂樹
3,4
Jun KATAOKA
1
,
Kahoko TAKI
2
,
Shigeki FUJITANI
3,4
1東京ベイ・浦安市川医療センター 集中治療科
2Pittsburgh大学 集中治療科
3東京ベイ・浦安市川医療センター
4聖マリアンナ医科大学 救急医学
pp.417-431
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100671
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
敗血症における初期蘇生プロトコルであるEGDT(early goal-directed therapy)がNew England Journal of Medicine誌に報告された1)のは2001年のことである。そしてその3年後の2004年,最初のSurviving Sepsis Campaign Guidelines(SSCG)2)が発表され,そのなかでEGDTはgrade 1Aとして推奨された。しかし,EGDTについてその後さまざまな追試が行われ,否定的な結果3~5)が報告されてきた。そしてSSCG20086)/20127)ではEGDTの推奨はgrade 1Cに下げられ,本年(2014年)には,EGDTプロトコルを用いて初期蘇生を行っても予後は改善しないという多施設共同無作為化比較試験(RCT)8)も発表され,EGDTは再考を迫られる時期にきているといえる。そこで本稿では,EGDTにおける治療指標の再評価を行い,新たな早期蘇生指標となり得るパラメータについて解説する。
Summary
●重症敗血症/敗血症性ショックにおける初期蘇生の目標は,酸素の需給バランスの是正である。
●酸素の需給バランスの指標となるのが,SvO2/ScvO2,乳酸値である。
●CVPなどの古典的な指標に代わり,新しい血行動態の指標として,受動的下肢挙上(PLR)や呼吸性変動による指標といった動的指標と,経肺熱希釈法(PTPD)が注目されている。
●1つの指標に頼るのではなく,複数の指標を用いて治療判断をしていくことが重要である。
Copyright © 2014, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.