特集 Severe Sepsis & Septic Shock
EGDTの再考
5.輸液―至適投与量とは,最適な製剤選択とは
岩井 健一
1
Kenichi IWAI
1
1東京慈恵会医科大学葛飾医療センター 麻酔部
pp.405-415
発行日 2014年7月1日
Published Date 2014/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100670
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輸液療法は,重要臓器血流維持の観点から,敗血症初期治療の中核をなすが,輸液の至適投与量,最適な輸液製剤の選択に関しては依然不明な点が多い。本稿では,Surviving Sepsis Campaign Guidelines(SSCG)2012で引用された研究報告を中心にレビューすることにより,輸液療法においてSSCG2012をどのように活用するべきかを検討してみたい。
Summary
●敗血症患者に対する輸液療法においては,治療初期には“十分な量”を投与すべきであるが,過剰輸液は患者予後を悪化させる可能性があることに留意すべきである。
●“十分な量”の輸液とは,何をもって判断するのかは困難であるが,GDT研究の結果から考えると初期治療6~8時間の間に2~5L程度であると示唆される。
●最適な輸液製剤の選択を考えるにあたり,“改訂版Starlingの法則”と“重症患者における血管透過性の亢進”を理解するべきである。
●敗血症患者におけるアルブミン投与の有効性は,いまだ十分なエビデンスがあるわけではない。
●敗血症患者におけるヒドロキシエチルデンプン投与は避けるべきである。
●重症患者においては高クロール血症が患者予後を悪化させる可能性がある。
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