特集 ICUルーチン
第1章 ICUにおけるケア
1.体位変換・褥瘡予防
南條 裕子
1
Yuko NANJO
1
1東京大学医学部附属病院 看護部
pp.163-169
発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100639
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体位変換は「自分で体位を変えられない,あるいは変えてはいけない人に代わって,身体の向きや姿勢を変えて保持すること」1)と定義され,日常生活や治療・検査に必要な体位への援助をはじめ,安楽の保持,臥床安静や不動に伴う合併症予防・治療の看護ケアに位置づけられている2)。
合併症予防において「2時間ごとの体位変換」が広く認知され,多くのICUでのルーチンとなっている一方3),複数の問題を抱えたICU患者にとって,その体位の違いや時間の妥当性など,実践においての混乱がうかがえる。
本稿では,まず体位変換の根拠とガイドラインの推奨事項を確認するとともに,その実践の実態と問題点について整理する。次に,診療報酬にも反映されている褥瘡対策4)を例にとり,その予防における体位変換の動向について述べる。
Summary
●体位変換は,臥床安静による合併症予防のための重要なケアであり,その標準は「30°頭位挙上・2時間ごとの変換」である。しかし,必ずしも実施されてはおらず,定期的な実施での問題も生じている。
●褥瘡予防における体位や変換時間の制限は,近年のベッド上環境の変化によって変わりつつある。高機能のマットレスやベッドの活用は,褥瘡予防のみならず呼吸・循環器系の合併症予防にも寄与する可能性がある。
●ベッド上環境がいかに変わろうと,ベッド上の体位の整えおよび体位変換の評価における看護師の役割は変わるものではなく,患者個々のアセスメントに基づく実践を忘れてはならない。
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