特集 PICU
8.小児脳死下臓器提供における現況と課題―現場の不安を紐解く
植田 育也
1
Ikuya UETA
1
1静岡県立こども病院 小児集中治療センター
pp.551-564
発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100449
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筆者は,2009年の臓器移植法改正のための議論にさまざまな側面で関与することとなり,その縁で,改正前後から各種のセミナーや講演をさせていただいた。そしてその際に,重篤な小児救急患者を診療する現場の医療従事者の生の声を数多く聞くことができた。本稿では,まずはそのなかで浮かび上がってきた,小児の脳死下臓器提供にまつわる「現場の不安」について論じ,そのうえで,そこから見えてくるもの,つまり重篤な小児の救急患者を診療する体制の整備と,また,そのような患者の診療を尽くしても果たせない場合の臓器提供という「職責」について考えてみたい。
まずは,小児の救急医療,被虐待児に対するケア,そして看取りの医療…。その各要素がしっかり行われるようになって,はじめて臓器移植医療もわが国に根づくことになると考える。
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