脳死からの臓器提供手術―高知赤十字病院の場合

はじめに

　1999（平成11）年2月28日，当院において臓器移植法の施行から日本で初の脳死判定による臓器提供手術が行なわれました．当院では，今まで心臓死における腎提供・角膜提供手術は経験がありました．私たちは，脳死から臓器提供手術の基本的看護は，心臓死の場合と同じだと考えています．しかし，今回は日本で初めてということもあったため，社会的反応が大きく，そのことによってさまざまな経験をしました．

　今回の脳死臓器提供については，体制・シミュレーションなどが準備万端で整えられていたわけではありませんでした．混乱の中での手術ではありましたが，当手術室が患者・家族の強い意思を実現させていくために，どのように関わったのかを述べさせていただきます．