特集 PICU
3.呼吸 Part 2:小児急性期NPPVの実際―効果が期待できる反面,早期撤退の判断は成人にも増して重要
藤原 直樹
1
Naoki FUJIWARA
1
1沖縄県立南部医療センター・こども医療センター 小児集中治療科
pp.491-498
発行日 2012年7月1日
Published Date 2012/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100444
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「呼吸管理の革命」と称され,成人患者の呼吸不全に対しては“当たり前”の治療になった感のある非侵襲的陽圧換気non-invasive positive pressure ventilation(NPPV,NIPPV)であるが,近年小児領域でも広がりをみせている1)。我が国では,新生児に対する経鼻での持続的気道陽圧法continuous positive airway pressure(CPAP)は多くの新生児集中治療室(NICU)で普及しているが,乳児から小児期の呼吸不全に対する使用となると,施設間格差の大きな治療介入となっている現状がある。成人のような強力なエビデンスに支えられているわけではないが,気管挿管および侵襲的呼吸管理による合併症からの回避効果は,やはり魅力的といえる。
本稿では小児急性期NPPVを取り上げるが,基本的に直ちに気管挿管の適応のないあらゆる酸素化・換気障害に対して,成人と同様,NPPVを当初から念頭においた新たな呼吸管理戦略が求められる時代になったといえる。治療の成功には,医療従事者の経験・慣れが,成人以上に重要なファクターとなる。NPPV非反応例を迅速に抽出し,気管挿管への移行を遅らせないことが大切で,侵襲的な小児呼吸管理に対応可能なICU環境下での導入が望ましい。
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