特集 外傷
【コラム】脊髄損傷とステロイド
加藤 宏
1
Hiroshi KATO
1
1国立病院機構災害医療センター 救命救急センター
pp.565-569
発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100325
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コハク酸メチルプレドニゾロンナトリウムmethylprednisolone sodium succinate(MPSS)は現在,急性期脊髄損傷患者に使用される唯一の薬物である。MPSS大量療法は,1990~1992年にNASCIS*1 21,2)がその有効性を発表して以来,世界各国で脊髄損傷の標準的治療として実施されるようになり,日本でも1997年7月にソル・メドロールⓇ が追加適応症の承認(表1)を受けて臨床応用が開始されている。そして,1997年に報告されたNASCIS 33)と1年後の追跡調査4)では,受傷後3~8時間で投与開始した場合はより長期間のMPSS投与が機能予後の改善をもたらす,と結論づけられた。しかしながら,1990年代後半以降,NASCIS 2やNASCIS 3に対する批判的な意見も多くみられるようになっている。本コラムでは,MPSS大量療法に関する議論,現状および今後の展望について記す。
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