臨時増刊特集 これだけは知っておきたい治療のポイント 第2集
III.呼吸器疾患
1.薬剤の適応と使い方
ステロイド
可部 順三郎
1
1国立病院医療センター呼吸器科
pp.1810-1811
発行日 1978年12月5日
Published Date 1978/12/5
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402208159
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気管支喘息
適応 死の転帰をとりうるような重症の喘息発作には大量のステロイド剤を躊躇なく使う.中等度の発作では状況の許すかぎり使用しないようにする.発作がステロイドなしでコントロールできるか否かは,その患者の以前の発作の状態でだいたい見当がつくし,感染の有無,チアノーゼ,気管支拡張剤に対する反応性,心循環系の状態などを考慮して判断する.以前ステロイド剤を使用したことがない患者では,発作がかなり重篤でもなるべくステロイドなしできりぬけるよう努力してみる.逆にステロイド使用量が長く,副腎皮質機能不全が認められたり,推測されるような場合は,ステロイドの使用を控えたり,その増量を制限するのは危険である,ステロイド離脱後6ないし9カ月以上副腎皮質機能が回復していない場合が少なくない.このような場合には発作がなくても手術などの時には術前から投与しておく.軽症発作ではステロイド剤を投与しない.しかしそれほど重病でなくても気管支拡張剤などの内服だけでは十分コントロールできず,頻回の注射,吸入を行わざるを得ないような場合とか,比較的少量のステロイドの連日あるいは間歇的使用で十分社会生活に耐えられるような状態が得られる場合,季節性で少量短期間の使用で卓効が期待できる場合,心・循環系の合併症の存在や気管支拡張剤に対する副作用が強くて十分量を使用できない場合などにはステロイド剤の使用を考慮してよい.
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