特集 重症感染症
2.意識障害と感染症―(1)総論
平岡 栄治
1
,
宮本 宣友
1
Eiji HIRAOKA
1
,
Yoshitomo MIYAMOTO
1
1神戸大学医学部附属病院 総合内科
pp.7-13
発行日 2010年1月1日
Published Date 2010/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100256
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
- 参考文献
- サイト内被引用
意識障害をきたして搬送されてくる救急患者に対応したり,重症患者が急性の意識障害をきたす場面に遭遇したりすることがある。意識障害の程度は,会話がかみあわず,意味不明なことを言ったり,医療側からの指示が理解できなかったり従わなかったりするレベルから,昏睡状態までさまざまである。その原因としては,頭部外傷や脳卒中,脳炎など,脳自体の問題で意識障害が生じる場合と,腎不全や肝不全に伴う意識障害など,脳以外の問題で生じる場合(急性中毒性・代謝性脳症acute toxic-metabolic encephalopathy1))に分けることができる。また,感染症の関与の有無で分けることもできる。感染症によるものも,脳炎や髄膜炎などの中枢神経系感染症で意識障害が生じる場合もあれば,肺炎や尿路感染など中枢神経以外の感染症であっても,高齢者や重症患者であれば意識障害を呈することがしばしば経験される(敗血症性脳症septic encephalopathyまたはsepsis-related encephalopathyと呼ばれる)2)。代表的な意識障害の原因を表1にまとめる。
本稿では,感染症による実際の症例を中心に,そうでないものも交えて提示し,意識障害のマネジメントについて概説する。意識障害をきたす中枢神経系感染症,特に細菌性髄膜炎と脳炎については次章の「各論」で解説する。
Copyright © 2010, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.