特集 AKI
6.AKI各論
(4)septic AKI―新しいコンセプトと推奨される治療戦略
江木 盛時
1
Moritoki EGI
1
1岡山大学医学部 麻酔・蘇生学 集中治療部
pp.575-585
発行日 2009年7月1日
Published Date 2009/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100224
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急性腎傷害acute kidney injury(AKI)1)は,集中治療を要する患者の約1/3に生じる2)。sepsis(敗血症)あるいはseptic shock(敗血症性ショック)は,ICU患者に生じるAKIの最も頻度の高い要因であり,AKIの30~70%はsepsisを契機に発症するといわれている3~9)。敗血症性AKI(septic AKI)患者は,他の要因(心臓術後,造影剤など)によって生じるAKI患者(non-septic AKI)と比較すると,死亡率は高いが5,7,10,11),腎機能の回復率がよい6)とされている。この違いは,septic AKIが他のAKIと異なった病態生理で生じている可能性を示唆する根拠となっている。
近年の医療技術の向上にもかかわらず,septic AKI患者の死亡率は依然として高いままであり3,4,6),この高い死亡率の要因の1つとして,septic AKIに関する理解がいまだ十分でないことが挙げられる。本章では,septic AKIに関して現在報告されている情報を整理し,近年研究が進んでいるseptic AKIの新しいコンセプトおよび推奨される治療戦略について概説する。
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