特集 不整脈
1.不整脈診療の歴史的変遷
不整脈診療の歴史的変遷
三田村 秀雄
1
Hideo MITAMURA
1
1東京都済生会中央病院 循環器科
pp.671-679
発行日 2009年10月1日
Published Date 2009/10/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100143
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■From BC to AC
今から20年前の1989年,CAST*1の初期報告が発表されると,世界中に激震が走った。よかれと思って行った治療が,実は無効どころか,反対に死亡率を高めてしまう悪しき治療であったのである。このCASTが,その後の不整脈診療へのアプローチに与えた影響は計り知れない。CASTの前(Before CAST:BC)とCASTの後(After CAST:AC)とでは,明らかに不整脈診療の流れが変わった。CASTの結果,不整脈の診療が恐れられ,あるいはあきらめられかけた時期を経て,やがてそのおかげで,より科学的で,より安全なものへと導かれた(表1)。ここでは,この革命的臨床試験の前と後(BC vs AC)でどのように考え方が変わったのかを追うとともに,その後に飛躍的に成長した非薬物療法や,より上流の基礎病態を重視したupstream治療に向けて,不整脈診療の流れが移りゆく背景と概観を展望し,最後に集中治療領域で働く医師への助言を述べることとする。
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