今月の主題 不整脈診療の実際
editorial
不整脈診療の実際
村山 正博
1
1関東逓信病院・循環器内科
pp.6-7
発行日 1986年1月10日
Published Date 1986/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402220162
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不整脈は日常臨床において遭遇することが最も多いものの1つである.心臓病診療において不整脈は心不全とともに機能異常を示す概念であり,心筋梗塞や弁膜症といった解剖学的異常を背景にした疾患概念とは立場を異にしている.不整脈は心臓の基本的機能の1つである変時作用や伝導といった機能の異常である.その意味では変力作用の異常である心不全と立場は似ている.したがってその背景には多種多様の疾患があり,またそれがまったくないこともある.Holter心電図の開発以来,長時間にわたり,たとえば期外収縮がまったくない人はむしろ珍しく,多くの人が期外収縮を有することが判ってきたが,そうなると不整脈は果たして疾患であるのか,また異常な状態であるのかということもはっきりしなくなってきた.同じ機能異常でも心不全は明らかに病的状態であるが,不整脈はきわめて独自な包括的概念であることが判ろう.
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