今月の主題 新しい不整脈診療
座談会
不整脈診療の実際
飯沼 宏之
1
,
小川 聡
2
,
三崎 拓郎
3
,
比江嶋 一昌
4
1心臓血管研究所
2慶応義塾大学医学部・中検
3金沢大学医学部・第1外科
4東京医科歯科大学医学部・第1内科
pp.121-133
発行日 1989年1月10日
Published Date 1989/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402222290
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比江嶋(司会) 不整脈の診断,治療にはここ十数年間に著しい進歩,発展がみられました.ヒス束心電図が臨床に登場したのは1969年,昭和44年ですが,それ以前では不整脈を解析するにあたって,長く記録された心電図や,2チャンネルの同時記録心電図があればいいほうでして,大抵は,たまたま記録された1チャンネルの短い心電図で,不整脈を解析しなければならなかったわけです.したがって,その解析はともすれば正確さを欠き,また不整脈の発生機序を説明するのに,それまでに動物実験で得られた機序を"外挿"したものでした.
一方,不整脈の治療の面では,当時抗不整脈剤として使用できた薬剤は,キニジン,プロカインアミド,アジマリンしかありませんでした.徐脈性不整脈に対するペースメーカー療法も,世界で最初に埋め込みが行われたのは1958年,昭和33年といわれますので,わが国では当時まだ黎明期にあったわけです.それが今日では,不整脈の診断,機序の解明においては,電気生理学的検査法,ホルター心電図法などの新しい方法の臨床への導入,発展によって多くの不整脈の発生機序が明らかにされ,また,複雑な不整脈の解析が容易になりました.
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