今月の主題 不整脈診療プラクティス
(editorial)不整脈診療プラクティス
飯沼 宏之
1
1心臓血管研究所
pp.6
発行日 1991年1月10日
Published Date 1991/1/10
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1402900654
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最近の急速な人口の高齢化,生活レベルの向上,食〜生活習慣の欧米化,さらに健康についての社会的関心の高まり,および医療環境の整備などから成人病の受診者が急増している.不整脈の発生頻度は健常者でも高齢になるにしたがい増加するが,成人病の中心となる虚血性心疾患では不整脈が高頻度にみられる.したがって,成人病の増加に伴い不整脈の患者数も著増しているので,多くの実地医家が日常臨床の場で不整脈の診断と治療を実践しなければならなくなっているのは当然であろう.
不整脈以外の疾患,たとえば高血圧,心不全,狭心症などの病態や重症度の診断は血圧測定,聴打診,および比較的簡単な検査などの計測値を比較することにより,わりと容易にある程度の正確さをもってなされるのに対し,不整脈の診断にはまずなじみがたい心電図の解析が必須となることが多いので,不整脈に対し若干苦手意識をもつ医師は少なくないと思われる.また不整脈の成因をベッドサイドで決めることは現状では不可能に近いこともあって,治療の際の薬物選択はどうしても試行錯誤的にならざるをえず,高血圧の治療でみられるコンセンサスの得られた一定の指針のようなものが今のところ存在しないということも,不整脈と取り組むことをためらわせる一因であろう.
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