特集 モニター
回答4:心拍出量に焦点を当てた循環管理
内野 滋彦
1
Shigehiko UCHINO
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科 集中治療部
pp.321-323
発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100052
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■はじめに:ハイポって何だ?
ICU患者の循環管理について議論していると,「ハイポ」や「血管内脱水」といった言葉を頻回に耳にする。しかし,このような言葉が使われているときに本当に循環血液量が不足しているかというと,実はその多くにおいてそうではないと感じている。症例の具体的な管理方法について述べる前に,脱水だと何が困るのか,脱水かどうかを診断する方法はあるのか,この2点について,まず考えてみたい。
脱水だと何が困るのか。単純な答えは,循環血液量が減少し,心臓の前負荷が減少し,心拍出量が減少し,臓器への酸素/栄養の運搬量が減少するから困る1),である。ということは,心拍出量がモニターされていてそれが十分な値であれば,他の指標がどうであろうとその患者は脱水ではない,ということになる。例えば,心臓外科手術後で肺動脈カテーテルが留置されていて,強心薬なしに心係数が3L/min以上維持され頻脈でもないときに,中心静脈圧(CVP)や肺動脈楔入圧(PAWP)が低いという理由で補液が行われるのが,脱水だと何が困るのかを理解していない典型である。
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