特集 モニター
回答1:左室拡張終期容量かつ心収縮力を最大限にする治療戦略
藤谷 茂樹
1
Shigeki FUJITANI
1
1聖マリアンナ医科大学 救急医学
pp.314-315
発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100049
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■経過観察1
心機能の悪い敗血症性ショック患者の循環管理は,極めて難しい。それは,適正水分管理の幅が極めて狭いからである。言い換えれば,敗血症性ショックの病態もあり循環血漿量不足となりやすく,逆に多少でも多くなればすぐに左心不全(肺うっ血)をきたしてしまうからである。さらに,両心機能不全患者では右心機能の低下もあるため,右室への前負荷が満たされなければ,左室拡張終期容量を確保することができなくなる。それ故,左室拡張終期容量かつ,心収縮力を最大限にする治療戦略を立てるようにしている。
すなわち,Frank-Starling の法則に従い,
①血管内容量が心収縮力をmaxにする点をどのようにして読み取るか
がポイントなってくる。その他の注意点として,
②肺の水分負荷に対する許容力の程度(肺傷害スコアであるMurray score≧3など,今後人工呼吸器にて調整できる幅がどのくらいあるか)
③肺間質への水分の移動の程度(循環血漿量の血管外漏出の程度=透過性亢進度)
が挙げられる。
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