特集 モニター
【コラム】CVP不要説―「圧」で「量」を予測できるのか?
鈴木 克典
1,2
Katsunori SUZUKI
1,2
1産業医科大学 感染制御部
2産業医科大学 第1内科学講座
pp.256-260
発行日 2011年4月1日
Published Date 2011/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100038
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中心静脈圧(CVP)は,前負荷(循環血液量)の指標として用いられている。CVPが低下することは,心拍出量の低下につながり,組織酸素代謝に影響を与える。ショックの本態は,末梢循環不全および末梢組織酸素代謝異常であり,CVPは,輸液による蘇生を行ううえで,非常に重要な指標であると考えられてきた。これは集中治療医,いや,すべての医師が第一の教義のようにすり込まれてきた,必須事項の1つである。
しかし,これから述べるように,CVPは循環血液量の指標とはなり得ず,補液によって心拍出量が増加するかどうか(輸液反応性fluid responsiveness)の指標としても限界があることが,多くの研究1~3)で示されている。CVPは,あくまでも右房または上大静脈で記録される「圧」であって,循環血液「量」や補液に対する反応性を適切には反映しない。したがって,輸液管理に関する臨床判断に用いるべきではない4,5),と考えられる。
本稿では,中心静脈「圧」は循環血液「量」や輸液反応性を予測できるのか,という命題に対する考察を行う。
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