Japanese
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特集 神経科学の仮説
記憶の物質説とシナプス説
Molecular vs. synapse theory of memory
塚原 仲晃
1
Nakaakira Tsukahara
1
1大阪大学基礎工学部生物工学科
pp.189-194
発行日 1984年6月15日
Published Date 1984/6/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.2425904584
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生物科学において,われわれの仮説に対する評価は必ずしも一致しているとはいい難い。ある人は,ある仮説に対してこれは単なる"仮説"にすぎないと軽く扱った表現をとり,別の人は仮説が提出されていない問題に対して「まだ仮説も提出されていないような未発達の領域」と表現し,仮説の出現はある学問領域の成長の一つのバロメーターとみる。前者は事実の記述に終始した古典的生物学で一時的にみられる仮説に対する消極的位置づけであり,後者は研究に対する仮説の役割をより積極的に評価したものである。しかし,どちらの立場でも,まだ全き真実に到達していない途中の段階という認識では意見が一致している。
村上陽一郎氏によると,仮説(仮設)とは「経験によって実際に確かめられていないが,それを仮に設けてみると,現象が整合的に説明できる場合,設けられたものを仮説という」と定義される。
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