特集 Infection Control
13.プロカルシトニン・ガイダンスによる抗菌薬消費量の削減
林 淑朗
1,2
Yoshiro HAYASHI
1,2
1Royal Brisbane and Women's Hospital, Department of Intensive Care Medicine
2The University of Queensland, Centre for Clinical Research
pp.101-108
発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100014
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プロカルシトニンが,近年,集中治療領域でも注目されている。細菌感染症に対して抗菌薬を処方する際に,血清プロカルシトニン値に基づいて,抗菌薬の開始判断や中止判断(ICUでは主に中止判断)を下す(以下,プロカルシトニン・ガイダンスとする)と,従来の方法に比べ,患者の予後には影響を与えずに抗菌薬消費量を減らせることが,複数の無作為化比較試験(RCT)で示されたからである。深刻さが加速する薬剤耐性のリスクを減らすためには,抗菌薬処方の質を改善する試みのみならず,抗菌薬消費量を減らすことも必要と考えられている。そのため,プロカルシトニン・ガイダンスは薬剤耐性のリスクを減らせるかもしれないツールとして期待されている。本稿では,これまでのプロカルシトニン・ガイダンスのRCTを総括し,ICUでどのような臨床応用の可能性が期待されているかについて,また現時点における問題点を解説する。
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