特集 Infection Control
14.集中治療医が知っておくべきワクチンの知識
勝田 友博
1
,
齋藤 昭彦
1
Tomohiro KATSUTA
1
,
Akihiko SAITOH
1
1国立成育医療研究センター 内科系専門診療部 感染症科
pp.109-117
発行日 2011年1月1日
Published Date 2011/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3102100015
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集中診療の現場においては,多様な基礎疾患を有する重症患者が日々入院してきており,集中治療医は既往感染情報が乏しい初診患者との接触機会が多い。また,救急受診患者のなかには,免疫不全患者,小児,高齢者,妊婦など,感染性疾患に罹患した場合に影響が大きい患者が多数含まれる。集中治療医は,自らが感染性疾患に曝露する可能性があるばかりでなく,自らが罹患し他の患者へ感染を媒介する可能性もある。このような,患者と医療従事者間の感染性疾患の伝播を完全に防ぐことは困難であるが,平時より適正な感染対策を可能な範囲で講じておくことが非常に重要である。その有効な手段の1つとして,患者ならびに医療従事者に対するワクチン接種が挙げられる。このような観点から,集中治療医は,ワクチンで予防可能な疾患 vaccine preventable diseases(VPD)の特徴と,そのワクチンの基礎的知識を理解し,ワクチン接種適応のある患者を見極め,積極的なワクチン接種を行うことが非常に重要である。同時に,医療従事者が接種すべきワクチンに関しても習熟すべきである。
本稿では,日本の現状を踏まえて,集中治療医にとって重要なワクチンの知識を述べる。
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