増刊号 新しい臨床検査・未来の臨床検査
各論
3.免疫血清検査
8 プロカルシトニン
舟田 久
1
1富山大学医学部感染予防医学講座
pp.1223-1225
発行日 2006年10月15日
Published Date 2006/10/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1543101092
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はじめに
プロカルシトニン(procalcitonin,ProCT)はカルシトニン(calcitonin,CT)のプロペプチドである.分子量は13kDaで,アミノ酸116個からなる.その構造はN末端ペプチド(N-ProCT),CT,カタカルシン(CCP-)を含む(図1).血中にはCTのほかにもCT前駆体(CTpr)のProCT,NProCT,CT-CCP-Ⅰ結合体,CCP-Ⅰが検出される.生理的条件下で,CTは高Ca血症に反応して甲状腺の傍濾胞細胞(C細胞)で生成・分泌される.C細胞の癌化した甲状腺髄様癌では無症候性の高CT血症が臨床マーカーとなる.一方,ProCTは重症細菌感染症や敗血症の患者の血中に著増するだけでなく,その濃度が重症度や死亡率と相関する.このため,ProCTには敗血症や細菌感染症の炎症マーカーとしての臨床的意義が強調されている.
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