徹底分析シリーズ 術前禁煙ができない患者へのアプローチ
周術期禁煙の根拠を確認する3ステップ—teachable momentを逃さぬために
飯田 宏樹
1
Hiroki IIDA
1
1中部国際医療センター 麻酔・疼痛・侵襲制御センター
pp.664-667
発行日 2024年7月1日
Published Date 2024/7/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202970
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2006年頃,岐阜大学医学部附属病院で実施した周術期患者のアンケート調査1)から,タバコを吸っていると手術を受ける際に多くのリスクがあること,また周術期に禁煙する利点についての情報がないために,禁煙に対して真摯に取り組めなかったとする手術患者が少なからずいることがわかった。このことは,周術期禁煙の意義に関する情報発信の不十分さを物語っていた。その研究の中で,悪性疾患と診断された患者のほうが良性疾患に比べて,より高率に術前禁煙を果たしていた。このような現象はteachable moment(健康が脅かされる出来事によって自然に健康リスクを減少させる行動をとる)として知られている2)。手術もteachable momentとして働き,心臓手術やがんの手術のような患者にとっての“重大な手術”において,より禁煙率が高くなる。麻酔科医は,患者の術後の予後と生活の質(QOL)に影響する“絶好の禁煙の機会”にかかわれる。このことを麻酔科医には広く認識していただきたい。
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