連載 なぜから始まる授業 基礎看護技術はなぜそうなのか?・10
実習室での「気持ちいい」を逃さずとらえる意義
若村 智子
1
1京都大学大学院医学研究科
pp.950-953
発行日 2009年10月25日
Published Date 2009/10/25
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1663101326
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「快の体験」という言葉との出会い
看護ケアをするにあたって大事にしていることがある。それは,私が病棟で働く看護師だった頃,最初に取り組んだといってよい看護研究の時に大事にした言葉である。
それは,病棟師長さんから「行く?」と言われて何となく参加した,6か月間の京都府看護協会主催の研修会でのこと。最初に講義があったのかどうかはもう忘れてしまったが,複数の先生方や受講者の簡単な自己紹介があったあと,黒板にいくつかの看護に関するキーワードが書き出され,それぞれの関心のあるテーマのところに集まるように指示が出された。私は「患者教育」のテーマを選んだ。そのテーマに集まったのは,遠くは京都の日本海側から京都市内の会場に参加している看護師を含めて5人。働いている病院もばらばら,病棟の共通性もなく,これでどうするのかしらと思っていたら,なんと,講義で研究の方法などを学ぶのではなく,このグループで実際に研究をしてみなさいという研修だったのである。それも,この6か月でまとめ,最低のタスクとして看護協会などの学会で研究成果を発表せよとのこと。受け身姿勢で参加してみた私であるが,拘束されない自由な形が気に入って,またメンバーや指導担当の先生にも恵まれ,忘れられないよい思い出になっている。あわせて,研究活動のために集まる日も出張扱いにしてもらえるという職場の理解もありがたかった。
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