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■症例
70歳の男性。身長165cm,体重72kg。右肩腱板断裂に対し関節鏡下腱板修復術が予定された。既往に高血圧があり,内服治療中である。抗凝固薬や抗血小板薬の内服はなく,術前の血液検査で異常は認めなかった。20代から20本/日の喫煙歴があるが,手術1か月前から禁煙している。呼吸機能検査は実施していない。日常生活で特に呼吸器疾患を疑わせる症状はなかった。麻酔は斜角筋間腕神経叢ブロックのカテーテル留置併用全身麻酔が予定された。
■症例経過 1
手術室入室後,覚醒下に斜角筋間腕神経叢ブロックを行うこととした。入室時の血圧は140/75mmHg,心拍数65bpm,経皮的末梢動脈血酸素飽和度(SpO2)は96%であった。手術体位はビーチチェア位であるためストレッチャー上で側臥位とし,斜角筋間腕神経叢ブロックを行った。超音波ガイド下に第5〜7頸髄神経根(C5〜C7)を確認し,後方アプローチで中斜角筋を通過しながらC5とC6の間に針を進めた。0.25%ロピバカインを適宜注入してC5とC6の間にスペースを作り,カテーテルを留置した。皮膚から神経根までの距離は約5cmで,皮膚から10cmで留置を行った。その後,カテーテルから0.25%ロピバカインを注入し,薬液が適切な位置に広がっていることを確認した。カテーテルを3MTMステリストリップTMで固定し,その上を透明フィルムで覆い,ブロック手技は終了とした。コールドテストで肩周囲の冷覚消失を確認後,ストレッチャー上で全身麻酔を導入した。麻酔はセボフルラン,レミフェンタニルを選択した。カテーテルから0.125%ロピバカインを6mL/hrで持続注入した。
術中のレミフェンタニルは0.3mg/hr程度で維持したが,時間の経過とともに血圧の上昇がみられた。手術終了後,ストレッチャーに移動し,抜管したが,直後から強い肩の痛みを訴えた。0.25%ロピバカイン10mLをカテーテルより追加注入した後に痛みが少し治まったため,回復室へ移動した。再度超音波装置で確認したところ,カテーテル先端は中斜角筋内であった。
さて,あなたならどうする?
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