症例ライブラリー 下肢の末梢神経ブロックがうまくいかない
坐骨神経ブロックがうまくいかない
大越 有一
1
Yuichi OHGOSHI
1
1けいゆう病院 麻酔科
キーワード:
腓骨神経麻痺
,
選択的脛骨神経ブロック
,
iPACKブロック
,
膝窩神経叢ブロック
,
持続カテーテル留置
Keyword:
腓骨神経麻痺
,
選択的脛骨神経ブロック
,
iPACKブロック
,
膝窩神経叢ブロック
,
持続カテーテル留置
pp.340-344
発行日 2025年4月1日
Published Date 2025/4/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320040340
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■症例1
74歳の女性。身長158cm,体重72kg。関節リウマチrheumatoid arthritisによる右側高度外反膝に対し,人工膝関節全置換術total knee arthroplasty(TKA)が予定された。大腿脛骨角femorotibial angle(FTA)158°(図1)。麻酔は全身麻酔に加え,持続大腿神経ブロックと単回投与の膝窩部坐骨神経ブロックが予定された。
全身麻酔導入後,右大腿神経周囲に0.375%ロピバカイン20mLを投与しスペースを作った後,カテーテルを留置した。さらに,膝窩部から坐骨神経周囲に0.375%ロピバカイン20mLを投与した。全身麻酔はデスフルラン4%,レミフェンタニル0.1〜0.2μg/kg/hr,ロクロニウムを適宜投与して維持し,持続大腿神経ブロックは0.2%ロピバカイン5mL/hrを術中から開始した。手術は138分で終了,覚醒後も痛みの訴えはなく帰室した。
帰室2時間後に整形外科主治医から,腓骨神経麻痺の有無を確認したいが,いつになったら坐骨神経ブロックの効果が切れるのかと問い合わせがあった。坐骨神経ブロックの効果時間を伝えたところ,外科医から「まさか術後腓骨神経麻痺のリスクがあること,知らないわけないよね」と言われてしまった。
さて,どうすればよかったのか。

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