快人快説
拮抗薬の薬物動態学—落とし穴はどこに?
坪川 恒久
1
Tsunehisa TSUBOKAWA
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座
pp.33-41
発行日 2024年1月1日
Published Date 2024/1/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202796
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はじめに
そもそも,われわれが使う薬物の多くは,作動薬(agonist)か拮抗薬(antagonist)であり,受容体を介して生理的な作用を強めたり,弱めたりするために投与する。例えば,ドパミンやアドレナリンはアドレナリン受容体作動薬であり,褐色細胞腫の麻酔管理で用いるフェントラミン(レギチーン®)はアドレナリン受容体の拮抗薬である。しかし,臨床麻酔で拮抗薬といえば,スガマデクスやフルマゼニルを思い浮かべる人が多いだろう。実はひと口に拮抗薬といっても,これら薬物の拮抗機構は大きく異なっていて,そのことを理解していないと落とし穴に落ちることもある。
本稿では,臨床麻酔で用いられている拮抗薬として,①スガマデクス(ついでにネオスチグミン),②フルマゼニル,③ナロキソン,④拮抗性鎮痛薬(ペンタゾシン,ブトルファノールなど)を取り上げる。
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