特集 輸血のすべて
Part 2 血液製剤の使用
【コラム⑥】抗凝固薬の拮抗—新たな拮抗薬とその使い分け
窓岩 清治
1
Seiji MADOIWA
1
1東京都済生会中央病院 臨床検査医学科
pp.112-119
発行日 2024年12月1日
Published Date 2024/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.218804090120010112
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ワルファリンなどのビタミンK阻害薬(VKA*1)や,直接経口抗凝固薬(DOAC*2)による抗凝固療法中の出血性合併症は,出血に起因する傷害とともに抗凝固薬の休止に伴う血栓症のリスクも高めるため,患者の予後に影響を及ぼすことがある。これまでワルファリン療法中の出血や手術などに対する緊急的な対応として,ビタミンK製剤の投与や新鮮凍結血漿(FFP*3)の補充が行われてきた。しかし,ビタミンK製剤の効果が発揮されるまでには時間を要することや,FFPの大量投与による循環動態への負荷が無視できないこと,抗凝固療法中の出血性合併症などに対する対応は限定的で不十分であった。またDOACは臨床応用が先行し,安全性を確保するための活性中和薬の開発が必ずしも十分ではなかった。最近ようやく,これらの課題を克服するための新たな薬剤が開発された。
本稿では,ワルファリンに対する血漿分画濃縮製剤やDOACに対する特異的中和抗体製剤,さらに遺伝子組換え製剤など,日本に導入された新たな拮抗薬について概説する。
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