徹底分析シリーズ 吸入麻酔法を支える理論
コラム:今回使う吸入麻酔薬の生理学的薬物動態モデルシミュレータ
坪川 恒久
1
Tsunehisa TSUBOKAWA
1
1東京慈恵会医科大学 麻酔科学講座
pp.268-269
発行日 2025年3月1日
Published Date 2025/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.134088360320030268
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図は,吸入麻酔薬の生理学的薬物動態のモデルである。
薬物動態モデルにはコンパートメントモデルと生理学的モデルがある。プロポフォールのtarget controlled infusion(TCI)投与で用いられているのは3コンパートメントモデルであり,架空のコンパートメントを三つ(効果部位も含めると四つ)設定し,実測された血中濃度の変化に適合するように分布容積とクリアランスを決定している。これらのコンパートメントは実際の臓器に対応しているわけではなく,あくまでも数字をあわせるために設けられた架空の容器であり,実用性に徹している。それに対して生理学的モデルでは実際の臓器を想定して,心拍出量,各臓器血流量を設定してモデルを構築していく。実際の各臓器血流量などをヒトで測定することはできないため,文献のデータを用いてアニマルスケールアップという手法を用いて計算している。
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