徹底分析シリーズ またまた研修医の素朴な疑問―2
硬膜外カテーテルから脳脊髄液らしいものが吸引された場合,どのように対処したらよいか
小杉 志都子
1
,
津崎 晃一
1
1慶應義塾大学医学部 麻酔学教室
キーワード:
くも膜下迷入
,
硬膜穿刺後頭痛
Keyword:
くも膜下迷入
,
硬膜穿刺後頭痛
pp.796-797
発行日 2007年8月1日
Published Date 2007/8/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101100397
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●くも膜下迷入を疑わせる身体所見
硬膜外カテーテルのくも膜下迷入は,必ずしもカテーテル挿入時に生じるとは限らず,術中や術後に,不意に生じることもある。身体症状は,血圧低下,下肢しびれ,感覚運動麻痺,意識低下,呼吸抑制などであるが,全身麻酔下では,神経学的症状がマスクされ,遷延する血圧低下や,覚醒遅延によって,ようやく気付く場合もある。
また,術中や覚醒時には,神経学的異常や血圧低下などの身体所見を認めないにもかかわらず,手術翌日や翌々日に下肢の感覚運動麻痺が生じることもあり,体動増加により遅発性にカテーテルがくも膜下に迷入することも報告1)されている。全脊髄くも膜下麻酔や,呼吸抑制などの重篤な合併症も生じる可能性がある。
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