徹底分析シリーズ 身近なのに距離がある医療機器
巻頭言
穴田 夏樹
1
1関西医科大学 麻酔科学講座
pp.1309
発行日 2023年12月1日
Published Date 2023/12/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202766
- 販売していません
- 文献概要
手術室内には多くの医療機器があり,日常的に使用されています。麻酔科医はこれら医療機器と切っても切れない関係にあるのに,心理的な距離があるのではないでしょうか。それは他職種(主に臨床工学技士)がきっちりお膳立てしてくれて,麻酔科医はただ使うだけだからなのかもしれません。しかし,手術室内の医療機器は緊急時に使用する場面も多く,そうした際にも“技士さんにお任せ”で,セッティング中に指をくわえて見ているだけなのは,麻酔科医として歯がゆい気持ちになります。餅は餅屋なので,麻酔科医だけで使いこなせるようになる必要はありませんが,そもそもの機器の仕組みを理解しておくことは,使用者として求められることです。さすれば,緊急使用時にも“今,必要なこと”を的確にとらえることができ,チームの一員として緊急対応により貢献できるでしょう。また,使用中のトラブルの際に技士さんが駆けつけるまでのあいだに,ある程度の対処ができたら患者さんを危険に曝さずにすむかもしれません。
本徹底分析シリーズでは,手術室内にある医療機器の中から緊急時に使用されることが多いものをピックアップし,それらがどのような仕組みで機能しているのかを解説します。ただし原則は専門家に任せるべきことなので,麻酔科医がゼロから組み立てられるようになるところは目指しませんし,機種ごとの細かな差異などにも踏み込みません。まずは機器への苦手意識を軽減する一助となれば幸甚です。
Copyright © 2023, MEDICAL SCIENCES INTERNATIONAL, LTD. All rights reserved.