徹底分析シリーズ 非がん性痛に対するオピオイド
巻頭言
溝渕 知司
1
1神戸大学大学院医学研究科外科系講座 麻酔科学分野
pp.221
発行日 2015年3月1日
Published Date 2015/3/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101200144
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- 文献概要
ここ数年,痛み診療においてがんが原因でない慢性の痛みへの対応が大きく取り上げられるようになっています。急性の痛みは生体にとって警告信号となりますが,慢性の痛みは警告信号となることは少なく苦痛になるだけであり,生活の質が低下するため社会的にも問題であるという考えからです。このようながんが原因でない慢性の痛み,すなわち非がん性痛に対し,いくつかのオピオイドの使用が可能になっています。以前からコデイン散やモルヒネ錠は非がん性痛にも使用できましたが,最近ではトラマドールや,フェンタニルおよびブプレノルフィンの貼付剤などが非がん性痛に使用可能となりました。しかし,非がん性痛に対するオピオイドの使用は,がんによる痛みに対するオピオイド使用とは異なり多くの問題があると考えられています。
そこで今回,「非がん性痛に対するオピオイド」の徹底分析を企画しました。本特集では,オピオイド使用に際して知っておくべき基礎知識に加え,非がん性痛に対するオピオイド使用の現状と問題点,さらに最新の動向などをまとめました。執筆を依頼し快諾していただいたのは,この分野を含め世界的な仕事をされている3名の先生方と,現在,実際の臨床現場で活躍している中堅の先生方です。他書とは一味違う,読んでよかったと思える充実した内容になったと確信しています。
本特集が,知識のまとめに役立つとともに正しいオピオイドの使用につながると期待しています。
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