症例ライブラリー 術後の覚醒遅延
術前に口渇を訴えていた患者が前立腺切除術後に覚醒しない
角田 奈美
1
Nami KAKUTA
1
1徳島大学大学院医歯薬学研究部 麻酔・疼痛治療医学分野
キーワード:
高ナトリウム血症
,
低ナトリウム血症
,
トルバプタン
,
電解質異常
,
HoLEP
Keyword:
高ナトリウム血症
,
低ナトリウム血症
,
トルバプタン
,
電解質異常
,
HoLEP
pp.640-642
発行日 2023年6月1日
Published Date 2023/6/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101202574
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76歳の男性。身長170cm,体重70kg。前立腺肥大症でフォローされていた。タムスロシン内服により尿閉とはなっておらず,尿量は多かった。前立腺重量は推定150g,夜間頻尿や失禁も認め,経尿道的前立腺切除術〔経尿道的ホルミウムレーザー前立腺核出術transurethral holmium laser enucleation of the prostate(HoLEP)+生理食塩液灌流経尿道的前立腺切除術bipolar-transurethral resection of the prostate(TURP)〕が予定された。
既往歴は慢性心不全,陳旧性心筋梗塞(下壁),徐脈性心房細動に対しトルバプタン7.5mg,フロセミド20mg,アスピリン100mg,エドキサバントシル30mgで内服加療中。術前経胸壁心エコーで,うっ血所見はなく血行動態は代償されていた。血液検査ではヘモグロビン値(Hb)10.2g/dL,BUN 21mg/dL,血清クレアチニン(Cr)0.98mg/dL,電解質はNa 144mEq/L,K 4.0mEq/L,Cl 108mEq/Lであった。
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