徹底分析シリーズ 出血治療戦術—適応外の製剤も駆使して止血を図る
出血治療における新鮮凍結血漿の位置づけ—出血時の新鮮凍結血漿投与
阪本 雄一郎
1
Yuichiro SAKAMOTO
1
1佐賀大学医学部 救急医学講座
pp.1178-1182
発行日 2020年11月1日
Published Date 2020/11/1
DOI https://doi.org/10.11477/mf.3101201826
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新鮮凍結血漿投与に関する指針
大量出血の病態は単に破綻した血管から血液が血管外へ漏出するだけではなく,出血に対する生体反応として凝固反応が作動する。この反応から凝固因子が消費され消費性の凝固障害をきたし得る。また,出血が持続すると心拍出量は低下し虚血再灌流障害やアシドーシス,低体温も惹起する。結果的にアシドーシスや低体温に加え,血管内皮細胞傷害,炎症,線溶亢進なども加わり,危機的な止血困難な状態になり得る。
出血治療における新鮮凍結血漿(FFP)の位置づけとして,2005年に示された『輸血療法の実施に関する指針』1)では,大量輸血の定義を24時間以内に患者の循環血液量と等量またはそれ以上の輸血が行われること,と定めたうえで,赤血球輸血に関する救命処置時の血液型ごとの異型適合血や患者血液型が未確定の場合のO型赤血球輸血に関する記述はあるが,FFPに関する記述は乏しい。2005年に大幅な改定後にその後も改正が重ねられた2019年の『血液製剤の使用指針』2)では,産科的出血,外傷性出血,手術に伴う出血などにより大量出血を予想または認める場合の具体的内容が示されている(後述)。
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